直流電圧を高い精度で測定するためには、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。特に直流低電圧(微小な直流電圧)を扱う場合は、入力インピーダンス、熱起電力、そしてグラウンドに注意をする必要があります。
まず入力インピーダンスについてですが、入力インピーダンスが低い計測器(指示計器のようなアナログメータ)を用いると、測定対象回路に不要な電流が流れることで電圧降下が生じ、測定誤差を生じる可能性があります。このため、高い入力インピーダンスを持つ電子電圧計やディジタル電圧計、または直流電位差計などを使用することが一般的です。
次に意外と見落とされがちなのが、熱起電力の影響です。熱起電力とは、異種金属の接合部に発生する電圧のことであり、熱起電力の大きさは、使用する金属の種類だけでなく、接合部の温度差によって決まります。したがって、熱起電力を低減させるには酸化していない同じ種類の金属だけを使用し、全ての接合部の温度を可能な限り同一温度に保つことが重要となります。また、実際の測定時に接合部を手で触り温度変化が生じた場合は、周囲温度に馴染むまで暫く時間を置く必要があります。
JEMICでは、こうした熱起電力の影響を最小限に抑えるために、低熱起電力ケーブルを使用するなどの対策も講じています。
また、ノイズ対策としては、適切にグラウンド(またはアース)を取ること、さらにシールド付きケーブルを使用することが効果的です。
このように、微小な直流電圧の測定では、機器の特性だけでなく、周囲の環境やちょっとした取り扱いの違いが、測定結果に大きく影響する場合があります。見落としがちなポイントに注意を払うことが、より正確な測定につながります。
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