日本電気計器検定所は電気メーターの検定及び計測器の校正等を行っている公正中立な機関です

JEMICの強み

• 01電気メーターなどの型式承認・検定・検査

  型式承認

  　電気メーターは、適正計量の必要性から、50項目以上の構造に関する試験を行わなければなりません。しかし、これらの構造に関する試験は長時間を必要とするため、各家庭などに取り付けられるすべてのメーターを試験することは物理的に不可能です。そこで、同じ製造メーカーで同じ型式の代表するメーターに対して構造に関する試験を行い、合格したメーターに型式承認番号を付けることで、検定時には試験を一部省略できるようにしています。
  　このように型式承認制度とは、個々の検定を合理的に行うための制度として重要な役割を担うものであり、1911年の第1号から今日まで、約5,000の型式が承認されています。

  

  

  

  

  検定

  　検定では、全ての電気メーターについて、使用した電力量が正しく計量されるか（器差試験）、漏電や絶縁不良がないか（絶縁抵抗試験）、電気を使っていない時に計量しないか（潜動試験）、少ない電気使用量でも動作するか（始動試験）などの試験を行います（ただし、型式承認を受けていない電気メーターは、型式承認と同じ項目の試験を行います。）。
  　検定に合格した電気メーターは、有効期限を記した「検定ラベル」と検定証印を付した「検定証」を付け、電気メーターの内部に触れることができないよう封印し、計量法で定める有効期限まで使用することができます。なお、2019年1月から検定ラベルの、2016年4月から検定証のデザインが変更になりました。
  　JEMICでは、本社及び各支社・事業所で年間約600万台の電気メーターを最新技術の試験台で厳正に検定しています。また、本社では電気メーターのほかに、取引や照明に用いる照度計については年間約1,700台を検定しています。

  

  

  

  

  検査

  　工場や事業所など、電気を多く使用するところでは、高電圧を低電圧に、大電流を小電流に変換するための電力需給用の計器用変成器と組み合わせて電気メーターを使用します。そのため、電気メーターの検定と併せて計器用変成器の検査も行い、電気メーターと計器用変成器の両方の試験から総合的に合否判定をします。合格した電気メーターには、「検定証印」、「検定票」、「合番号票」が付けられ、更に計器用変成器には、「検定証印」、「合番号票」が付けられ、有効期限まで使用することができます。なお、2009年1月から封印方法が鉛封印から樹脂製の検定証による封印へ変更になりました。

  

  

• 02電気・光・温湿度標準などの維持供給

  校正業務

  　JEMICは、国際規格 ISO／IEC 17025（試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項）に基づき、各種校正業務を行っています。
  　特定校正は、計量法校正事業者登録制度（JCSS：Japan Calibration Service System）に基づく登録事業者の標準器（特定二次標準器）の校正を行います。この校正は、特定標準器又は特定副標準器を用いて行われ、“jcss” の標章を付した校正証明書を交付します。
  　JCSS校正は、JEMICがJCSS登録事業者として、特定二次標準器又は常用参照標準を用いてお客さまの標準器、計測器などの校正を行い、国際MRA付きJCSS認定シンボルの入った校正証明書を発行しています。また、公益財団法人日本適合性認定協会（JAB）により、国際規格 ISO／IEC 17025に適合している校正機関としても認定されており、JAB認定シンボル（国際MRA複合シンボル）付校正証明書を発行しています。いずれの校正証明書も、国家計量標準標準にトレーサブルな標準器により校正した結果を示すもので、国際MRAに対応しているので、品質システムの国際規格ISO9000S、自動車業界の国際的な品質マネジメントシステム規格 IATF 16949の要求に対応できます。
  　一般校正は、国際計量標準又は国家計量標準にトレーサブルな標準器を用いて、JEMICの基準に基づいて電気、温度、光、磁気、時間、長さ、質量、圧力、湿度トルク及び力の校正を広範囲にわたって行う校正です。校正試験の取り扱いについて、お客さまの標準器や測定器などをJEMICにお持ち込みあるいは発送していただいて行う校正（提出校正）の他に、お客さまが指定された場所に巡回試験車で伺って行う校正（巡回（出張）試験）にも対応しています。その他、JEMICの基準に基づいて試験し合否判定を行う定期点検試験や労働安全衛生規則に基づく絶縁用保護具（フック棒・ヘルメットなど）の耐電圧検査も実施しています。

  

  基準器検査

  　電力量計や照度計など、取引や証明用に使用する特定計量器は、基準器を用いて検定を行うことが計量法により規定されています。基準器とは、特定計量器の検定を行う際に基準となる計量器のことをいい、検定を行う機関はもちろんのこと、特定計量器の製造や修理を行う事業者も検査設備として備えることが義務付けられています。基準器は特定標準器（又は特定副標準器）を用いて検査する必要があり、これらの標準器を保有しているJEMICは、基準電力量計、単平面型基準電球、基準電圧発生器などの検査を行っています。

  

• 03電気計測に関する研究開発

  蓄積してきたノウハウを生かし
  未来の計測技術を創り出す

  　JEMICでは、電気メーターの検定技術の向上や優れた電気標準を産業界へ供給するため、標準器、測定技術、試験システムなどの研究開発を行っています。その主な研究範囲は、電気メーターの性能向上及び試験方法に関する研究、電気標準の開発の研究、電気標準の開発の研究、 電気、温度、光などの計測に関する研究です。
  　これらによって培われた成果は、国際・国内会議及び各種委員会などで発表するとともに、計測サークル活動を通じて産業界に提供しています。また、これら研究成果やノウハウ等を産業界で有効活用していただくため、技術相談の窓口も設けています。
  　これまでの研究開発、技術相談などから派生した発明考案は約280件以上に及び、現在までに185件の特許等産業財産権を保有してきました。

  

  

  

• 04電気計測に関する技術協力

  新しいテクノロジーを日本から世界へ

  　JEMICでは、計測器、測定技術などの研究開発を積極的に進めるとともに、各企業における計測技術者の育成を支援するため、計測技術セミナーを開催しています。
  　計測技術セミナーは、電気や温度などの測定技術から、国際規格 ISO/IEC 17025や不確かさなど、多岐にわたる内容で開催しています。
  　また、お客さまの要望に応え、開催方法も会場型、オンライン型、ハイブリッド型と、多様化を図っています。
  　さらに、計測に関する国内委員会や学会への参加・協力を行うとともに、国際会議及び国際比較プロジェクトへの参加、海外からの研修生・視察団の受入れ、独立行政法人 国際協力機構（JICA）などの要請による調査・研究活動など、グローバルな活動も行っています。

  

  

  

• 05新たなサービスへの取組

  変化する環境に対応するために

  　2014年以降、電気計器は従来の機械式計器から通信機能のついた電子式計器であるスマートメーターへと全面的に置き換わりつつあります。今後は多様なプレイヤー間での電気取引が見込まれ、また、IoTの進展により電気使用量データの活用の場面が拡大していくことが想定されます。このため、一般社団法人エコーネットコンソーシアムからECHONET Lite AIFの認定認証機関及び認定試験機関の認定を受け、スマートメーター及びHEMSコントローラーと家庭用エアコン等の機器間の相互接続性について、認証・試験業務を実施しています。
  　JEMICは、このようにスマートメーターと需要家のエネルギーマネジメントシステムを結ぶBルート通信の認証などスマートメーターを取り巻く環境変化に対応し、社会のニーズに応える取組を行っています。

  

  ※「ECHONET Lite」「ECHONET Lite AIF」とエコーネットロゴマークは、
  エコーネットコンソーシアムの商標です。